訪問看護における多職種連携とは?その必要性と課題について考える。

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 在宅医療の需要が高まる中、訪問看護において、利用者様が自宅で安心して生活していただくために、他の職種の方との連携がとても重要になります。

 利用者様やご家族の生活の質の向上させるためには、医師やケアマネージャー、訪問介護士などとの連携は欠かせません。そこで訪問看護における多職種連携の必要性について、書いていこうと思います。

訪問看護における多職種連携とは?

 住み慣れた自宅で過ごしたいと、希望される利用者様は多くみられます。そのため、生活環境やご家族の負担を考えた時、さまざまなサービスを利用されることになります。医療処置だけでなく、リハビリや家族支援、生活環境の整備など多面的なサポートが必要です。多職種が連携することで、より包括的なケアを提供できます。訪問看護において、医師やケアマネージャーなど、他の職種の方との連携を強くしていくことで、利用者様へのサービスの質を高めていくことができます。連携する主な職種をあげてみますね。

訪問看護において連携する業種は?

  • 医師
  • ケアマネージャー
  • 訪問介護士
  • 訪問入浴
  • 薬剤師
  • ソーシャルワーカー
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
  • デイサービスやディケア

    など                                               の業種があげられます。お互いに連携をとりながら利用者様へのケアをおこなうことになります。では、なぜ連携が必要になるのでしょうか?具体的に例をあげていきますね。

なぜ連携が必要なのか?

ある利用者様の例をあげてみます。

多職種連携ケース① 褥瘡処置

 ほぼ寝たきりの80代の男性の方で背中に褥瘡が発生し処置をしてほしいとのことでサービス開始しました。ご夫婦2人暮らし、訪問介護サービス、デイサービス、訪問リハビリも利用開始しました。背中の創部はサイズは、小さめでしたが深さがあり、デイサービスへ行かれた時も処置をおこなっていました。介護ベッドも導入し、エアマットレスも使用。離床もすすめていくようにしました。処置のため創部の写真も撮り、スタッフ同士の情報共有はもちろん、医師やデイサービスとも情報共有し、医師からの指示や処置方法など統一していただくよう、デイサービスのノートに記入し、情報共有をおこなっていました。訪問介護での介入時はガーゼ汚染の様子や外れていないか等の観察、褥瘡予防などのケアをおこなっていただきました。そのおかげでひと月足らずで、創部はよくなり、訪問看護の介入回数は減らせることができました。情報共有することで、その方への処置方法などを統一することができ、早い治癒につながったと思われます。

多職種連携ケース②病状管理

また、他の事例をあげてみますね。

 ご夫婦2人暮らしの80代の女性、糖尿病があり、内服と自分で血糖値測定を2回/日おこない、インスリン1回/日をうっていました。脊柱管狭窄症のため痛みがあり歩行困難があり、訪問リハビリを利用していました。鎮痛剤服用で痛み軽減し、杖歩行もスムーズになってきていましたが、内服忘れが多くなり、血糖コントロールも不安定になってきていました。リハビリスタッフからの報告でリハビリの時に同行し、内服薬の残薬の様子と、血糖値を確認し、ケアマネージャーに報告しました。受診はご主人が行き薬をもらってきているだけでした。本人様とも相談し、リハビリは一旦終了し、看護でまず週1回から介入開始することになりました。内服薬は服薬カレンダーを使用し、看護師でセットし、血糖値測定はきちんと記録できているか確認していきました。インスリンは残量チェックをおこないました、血糖値は不安定であったため、医師にも情報共有してインスリン量を相談していました。認知症は徐々にすすみ、血糖値の測定が抜けていることが多くなり、血糖値は低いことがみられるようになったため、本人様、ケアマネージャー、ご家族とも相談し訪問回数を週2回に増やし、経過観察していきました。受診もすすめていましたが、ご主人も高齢なため、なかなか進まず、2人の娘様にも連絡をとり、情報共有おこない、受診時の協力を得られるようにしました。受診もできるようになり、血糖コントロールも安定するようになりました。

 

他の業種との連携により、利用者様へのケアの質の向上につながりますね!

多職種連携における課題は?

 多職種連携において、成功事例をあげてみましたが、実際、訪問看護の現場において連携に関する課題もあります。

具体的な課題は?

  • 情報共有不足
  • 情報伝達が遅くなる
  • 職種間の役割分担があいまいになっている
    など

課題が生じる原因は何か?

 情報共有不足やタイムリーな情報共有ができないなどは、ICTツールが未活用な場合が多いと思われます。ICTツールを利用することにより、画像による情報共有もできますし、連絡の行き違いもなくせるのではないかと思います。2つ目の事例においては、主治医との連絡は電話か、クリニックへ直接出向き、血糖値の表を渡しに行くようにしてました。そうなると主治医にあうため時間を調整したりすることも必要になります。よく利用者様のところにノートを準備し、それぞれの事業所と情報共有している時もありましたが、記入漏れや記入時間も必要になってしまいます。また、現場において、ケア内容により、お互いの業種の役割があいまいになりがちな部分もあるのかと思われます。

課題解決のための取り組みは?

 現場においては、ICTツールを導入しているところも増えているように思います。それにより多職種との連携も図りやすくなり、情報共有の効率も良くなると思います。あとは役割分担の明確化です。サービス開始時にしっかり役割を明確にしておく必要があります。またそれぞれの事業者が利用者様、ご家族様を中心とした、目的、目標を共通課題として役割を果たしていくことが大切です。

どのような事業所がかかわっているのか、それぞれの事業所の役割を理解し、ほかの職種の思考や価値観も共有していきましょう。

まとめ

 多職種連携により、こまめな情報共有をおこなうことで、利用者様やご家族様の生活の質の向上につながります。安心、安全にご自宅で過ごしていただくためには、本当に大切なことになります。まずは利用者様、ご家族様を中心としたチーム作りを継続しておこなっていくことがカギになります。チームの一員として、訪問看護ステーションの役割は大きいと思います。チームのなかでの訪問看護師の役割を把握し、意識して活動していくことが大切です。患者・利用者に対してどのチームの一員として、チームにどのように貢献できたかふりかえる機会をもつようにしていきましょう。このような機会をつくることは、訪問看護師としてのスキルアップにも繋がります。より良いチーム作りのために、頑張っていきましょう。

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