社会的配慮という言葉が、最近になってよく聞かれるようになってきました。社会的配慮という言葉自体は昔からあるものです。しかしながら、社会的配慮と看護倫理における合理的配慮との違いについて詳しく説明しにくい…
そこで今回、訪問看護師としての社会的配慮と合理的配慮について紹介したいと思います。
訪問看護における社会的配慮と看護倫理における合理的配慮とは?
一般的には社会的配慮と合理的配慮について、どのように違うのか?簡単に説明しにくいと思います。

みもにゃん
簡単にいうと法的な義務があるか?ないか?です。
社会的配慮と合理的配慮との違い
社会的配慮
- 定義: 社会全体や他人に対して、相手の状況やニーズを尊重し、迷惑をかけないように気を配る行動や態度のこと。
- 特徴:
- 法的な義務ではなく、主に道徳やマナー、倫理観に基づく行動。
- 幅広い場面での気遣いや思いやりを指す(例:柔軟剤の香りに配慮、電車内でのマナーなど)。
- 一般社会の中で自然に求められる行動規範。
合理的配慮
- 定義: 特定の人が持つ障害やハンディキャップを考慮し、平等な機会や環境を提供するために、合理的な範囲で調整や変更を行うこと。
- 特徴:
- 法律に基づく義務であり、実施しない場合は差別と見なされる可能性がある。
- 日本では「障害者差別解消法」(2016年施行)に明記。
- 主に障害者が不利益を被らないように環境を整備するための具体的な措置。
- 例:車椅子利用者のためにスロープを設置、聴覚障害者のために手話通訳を提供。
社会的配慮の歴史
「社会的配慮」が語られるようになって随分経ちますが、本格的に注目され始めたのは20世紀後半から21世紀にかけてです。多様性や環境、そして人権の尊重といった課題が増えるにつれ、社会的配慮の重要性が広く認識されるようになっています。
日本文化での社会的配慮
- 周囲の空気を読む。
- 他の人に迷惑をかけない。
- 公共の場では静かにする。
などが挙げられます。
訪問看護に求められる社会的配慮
では、訪問看護で求められる社会的配慮とはどんなことがあるのでしょうか?
プライバシーへの配慮
- 訪問時に利用者や家族のプライバシーを尊重する。
- 不必要に家の中を見回さない。
- 記録や個人情報の取り扱いを徹底する(機密保持)。
コミュニケーションの配慮
- 利用者の言葉や話すスピードに合わせたコミュニケーションを心がける。
- 方言や文化的背景を尊重し適切な表現を選ぶ。
- 利用者の理解度に合わせて、ゆっくり丁寧に説明する。
時間への配慮
- 訪問時間を守り、遅れる場合は早めに連絡を入れる。
- 訪問予定時間が長引きそうな場合は利用者や家族に相談し了承を得る。
利用者の生活への配慮
- 家庭の生活リズムや習慣、文化的な価値観を知る。
- 尊厳や自立心を尊重し、必要以上に介入しない。
- 訪問時の接遇、マナーに留意する。
- 訪問時の身だしなみに注意する。:過度な柔軟剤の香り、香水などを控え清潔感のある服装を心がける。
感染予防への配慮
- 自身が感染源にならないように、徹底した手洗いや消毒を行う。
- 清潔感のある服装で訪問する。
- 季節性インフルエンザや新型感染症などの流行時には利用者と家族にあった感染対策を柔軟に行う。
精神的なサポートへの配慮
- 利用者の感情や不安に寄り添い、共感を示す。
- 家族の介護負担やストレスを察し、適切なアドバイスや支援を提供できるようにする。
地域社会への配慮
- 地域の社会資源を活用し、利用者や家族の負担軽減に努める。
- 必要に応じて、行政や地域のサポートネットワークと連携できるように支援する。
- 緊急時やこんなな状況に備え、いつでも連絡できるような体制構築に努める。

みもにゃん
一般常識的な感じだね!
訪問看護で特に配慮するべき3つのポイント
訪問看護で忘れないようにしたいのが、3つのポイントです。
- 訪問先は「生活の場である」
- 共に暮らす家族への配慮
- 柔軟な対応力

おじさま
できているようで、意外とできてないこともあるよな〜
まとめ
「社会的配慮」は日常生活における広範なマナーや思いやりを指し、法的な義務は伴わない一方で、「合理的配慮」は特定のニーズ(主に障害)に応じた具体的な措置であり、法的に義務づけられています。どちらも他者への配慮を基盤にしていますが、社会全体への気遣いと特定の課題への解決策という違いがあります。
